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資料室

「クリング通信」No.9

大天使と「失楽園」。
ウリエル、ガブリエル、ラファエルって、いったい何者なのか。
天地ができる時の物語だから、人間ではないのは確かですねぇ。
ということで、今回は「天地創造」の周辺のおはなし。


「結論から言ってしまうと、ウリエル、ガブリエル、ラファエルは、大天使。
じゃあ、大天使ってなんだ?
◎天使は3階級・9隊に分けられています。
 第一階級:熾天使(セラフィム)、智天使(ケルビム)、座天使(トロウンズ)
 第二階級:主天使(ドミニオンズ)、力天使(ヴァーチューズ)、能天使(パワーズ)
 第三階級:権天使(プリンシパリティーズ)、大天使(アークエンジェルズ)、天使(エンジェルズ)
第一階級は永遠の礼拝を捧げながら、神をとりまき、座天使は神を支える。第二階級は星と四大元素(自然を形づくる4つの基本要素:地、空気、火、水)を支配する。第三階級の権天使は地上の王国を守護し、大天使と天使は神の使者とされています。
大天使は天界では8番目。ものすごく偉い天使は人間の前に出てこないようです。

◎大天使で有名なのが、ミカエル、ラファエル、ガブリエル。これを三大天使といいます。
この3人(?)にウリエルを加えたのが四大天使。「天地創造」には一番ポピュラーなミカエルが出てきませんが、この4人について、説明していきましょう。

◆ミカエル:神が最初につくった天使ともいわれています。(ちなみに、人間は土から、天使は光からつくられたんだそうです)。キリスト教絵画では、鎧で身をかためて剣もしくは天秤を持つ美青年として表現されています。堕天使との大戦争のときに天使軍の先頭でサタンを地獄に落としたのも、最後の審判で死者の魂を天秤に掛けるのもミカエルです。
ミカエルは「神に似たもの」の意味があります。

◆ラファエル:サンダルを履き、杖・水筒・平らな小箱(聖体器)を持つ姿で描かれています。
(これも美青年!)。旅人の守護天使とも言われ、また、病気や怪我を癒す天使でもあります。ラファエルという名前には、「神が病を癒す」という意味があります。
ミルトン(ワタナベジュンイチではない)の「失楽園」の中では、アダムの求めに応じて「天地創造」を語る部分があり、オラトリオ台本のおおもとになっています。

◆ガブリエル:ガブリエルで一番有名なのが「受胎告知」。とまどうマリアに向かって、神からのお告げを伝える姿は、多くの画家が好んで描いています。白い百合の花を持つ姿で表現されます。
神の意志を伝える、告知・啓示の天使です。天使には性別がないと言われながら、ガブリエルは天使のなかで唯一の女性とも言われています。
マホメットに神の言葉を伝えたのも、ガブリエルとされています。
名前の意味は、「神のうちに我が力はあり・神の英雄」。

◆ウリエル:太陽の中に座す、神の目を持つ天使です。太陽をはじめとする天体の運行や自然現象・気象を支配する役割を担っています。
サタンが地獄から脱出し、天使の姿に化けてエデンの園を探していたときに、尋ねた相手がこのウリエル。ウリエルは怪しみもせずに、場所を教えてしまいます。なぜなら、人間にも天使にも偽善を見破ることはできないから。悪意というものは、歴然として現れない限り、善意を持ってしては見破ることはできないものだそうです。偽善を見破るには、最初から疑うことが必要ということでしょうか。不審に思ったのかウリエルは、その天使の後を追い、地獄の住人であることを見破り、エデンを守っていたガブリエルに知らせます。

◎「天地創造」がすべての始まりかと思っていたら、「失楽園」にはその前のおはなしがありました。

◆天使の中でも最も輝ける存在であったルシフェルは、神に取って代わろうと策略し、天使の1/3を巻き込んで反乱を起こします。結局、ミカエルたちの軍勢に大敗して天国から追放され、深い深〜い混沌へと落とされてしまいます。
ルシフェルは、地獄の王サタンとなります。(ちなみに、ルシフェルが落ちたのは、南半球。陸地はその恐ろしさのあまりに、北半球へと逃げたそうですが、天地創造の前ですから、物語だからってそんな・・・。)
地獄に堕ちた天使たちは、天国の奪回を狙って再び戦争を起こすべきか、討論をしています。そこへサタン(ルシフェル)が提案します。
「神が新しくつくった世界の『人間』という種族を誘惑し、自分たち一族に引きずり込み、神が後悔のあまりに自ら創造したものを自らの手で破壊するほうが面白い!」
その作戦のため、サタンは地獄の門を抜け、天使に化けてウリエルをだまし、エデンの園へと忍び込みます。そこで、この世の最初の男アダムが最初の女イヴに向かって話し始めるのを聞きます。聞きながらサタンは、知恵の樹の実を食べるように、そそのかすことを思いつくのです・・・。こうして話は、楽園追放へと進んでいきます。

◎興味を持たれた方は、原作をお読み下さい。「天地創造」の部分も感動的に語られています。あれを読むと、天使たちが何であんなに喜んで賞賛の歌を歌ったのか、よくわかります。
岩波文庫から上下巻共に700円で出ています。
◎オラトリオ「天地創造」の台本は、ミルトン作「失楽園」を元に書かれた英語台本をヴァン・スヴィーテン男爵が独語訳したものです。この男爵、単なる音楽好きの道楽者かと思っていたら、かなりの人物のようです。男爵はウィーンの音楽のパトロンで、作曲に関してはプロ級。外交官としてヨーロッパの音楽都市を遍歴した彼は、バッハとヘンデルの音楽を好み、ウィーンに戻るとひときわ愛したオラトリオを私的に上演するために音楽好き貴族を集め「音楽協会」を組織します。そんな時期にハイドンがロンドンからウィーンに帰国します。男爵は、ハイドンに対して経済的な保証をした作曲依頼主であるばかりでなく、オラトリオに深い見識を持つ創作上の良き相談相手でもあったようです。
◎絵画はメロッツオ・ダ・フォルリ作「奏楽の天使」 つまり合唱団に割り当てられた役ですね〜。(T.M)
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